この1年の変化 「人との交流を減らす社会」

#この1年の変化」 この1年、日常生活のリズムに特に大きな変化はありませんが、社会における人々の行動変容は非常に大きいと感じています。

■人との接触を控える生活

スーパーなどへの日用品の買い物以外は、不必要に出かけることは意識的に控えています。その際に一人で足りる場合は一人にしていますし、また宅配サービスも利用しています。自宅のある地域では、行政が主催する助け合い活動やスポーツイベントなど、より身近な地域のお祭りなどの交流行事がありますが、去年は交流行事はほとんどが中止となりました。人々の交流の機会が減り、地域コミュニケーションの危機を感じます。

■学校ではオンライン授業

去年の3月あるいは4月頃からでしょうか。企業では「リモートワーク」、学校では「オンライン授業」という言葉がよく聞かれるようになりました。

私は教職員ではありませんが、学校が職場です。今年度の入学生(去年の4月入学)は、ほぼ1年間ほとんどがオンライン授業で、キャンパスには数回程度しか来ていない学生も多くいる聞きます。学校側はオンライン授業のための環境整備、先生方の授業資料の準備など、この状況に対応するためとはいえ大変ご苦労されている様子でした。オンライン授業を受ける学生側も、自宅での自己学習が主体となり慣れないことによる苦労が多くあったと思われます。

■オンライン授業は自己管理

当初は、通わなくていいので通学が楽になる、時間が節約できる、そのために融通のきく時間が多く便利、など歓迎する声が多く聞かれたいいます。授業が始まってから数ヶ月経過すると、学生が理解しているかどうかわからない、他の学生と関わりをもつことがなく不安になっている、など不安を訴える声が出てきているようでした。そして、半年以上が過ぎた去年の暮れ頃になると、それまでの期間のストレスが溜まり、孤独感や悩みを訴えている方も出てきているということが多く聞かれるようでした。

年度始めからオンライン授業が開始し、ほとんど学校に通わずに自宅で過ごすことになったことに加えて、家庭でも外出を控える状況が重なり、このように外出せずに自宅内で過ごすという状態が長く続いたと様に思われます。自己学習となれば、自らが学習意識を管理、維持していかなければならない。・・・本当に大変だと思います。親御さんも大変苦労されていることでしょう。

■人との交流を減らす社会

新型コロナウィルスの流行に対しては「人との接触を控える」、社会的には「交流を減らす」ということが統一して実施される対応策と理解しています。改めて述べるまでもありませんが、一つの学校や地域だけではなく日本国内すべてで同じことが要求されます。

■リモートワークの考えはずいぶん前からあった

私はかつてIT系企業の会社員でした・・・もう10年以上も前の事ですが。そのころでもリモートワークの発想がありました。既にメールなどで社外からパソコンでオンライン接続して連絡やデータのやり取りをしていました。また、事業所間ではオンラインテレビ会議が実現していました。原理的には自宅と会社間でも可能でしたが、データ回線のスピードやセキュリティなど、まだ一般利用するには現実的でなかったこと、何よりも社会的な必要性の認識が十分ではなかったこと、などが理由で実施には至らなかったと考えています。

■良くも悪くもリモートの条件がそろった

一般家庭での光回線の利用、家庭・職場・店や人が集まる施設でのWiーFiの利用などのインターネット接続環境が多くの場所で整い、自宅や外出先から学校や会社にオンライン接続することが簡単・手軽にできるようになりました。このなかで新型コロナウィルスの流行があり、学校のオンライン授業や企業のリモートワークの社会的な必要性が明確になりました。

学校の授業内容や方法、企業の業務内容や方法により全てが対象とはならないと思いますが、リモートを実際に実施したことでメリットやデメリットが確かめられたことは意義深いと考えます。こうした状況を肯定的に捉え、この新型コロナウィスルの危機を乗り越え、より建設的に進めていくことで次の新しい社会像が見えてくるように期待したいものです。